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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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Ftarriインタヴュー Interview of Ftarri
 このブログでも以前にお知らせしましたように(*1)、オンライン・ショップFtarriが水道橋に実店舗をオープンしました。これを機会に店舗としての、レーベルとしての、そして「場」としてのFtarriについてメール・インタヴューを試みることにしました。鈴木美幸氏から寄せられたご回答を以下にご紹介いたします。実店舗開店後まもなくで、御多忙の中、インタヴューに御協力いただいた鈴木氏に感謝いたします。どうもありがとうございました。この記事がこの素敵なお店を皆さんに知っていただくことに、少しでも貢献できればうれしいです。
*1 http://miminowakuhazushi.dtiblog.com/blog-entry-180.html



 まずFtarriのショップ・ポリシーというか、なぜオンライン・ショップFtarriを始められたのかという点についてお聞かせください。

 Improvised Music from Japan のサイトは1996年にスタートしましたが、日本で活動する即興演奏家を海外に紹介するのが目的だったので、当初は英語版だけでした。日本語版はミュージシャン自身か他の人がそのうち作るのでは、なんて考えてました。でも当時はホームページを作ることがまだまだ珍しくて、どこからか日本語版が出現する様子もなかったので、じゃあ日本語版も作ろうということになりました。2001年にはレーベルを立ち上げて、CDのリリースも始めました。オンライン・ショップは2002年の春にスタートさせ、同年12月に年刊誌『Improvised Music from Japan 2002-2003』を出版しました(結局、毎年出版する計画は数年で頓挫しましたが)。
 2000年代に入って活動が慌ただしくなりますが、これには理由があります。90年代後半はIMJサイトの更新だけをやっていましたが、それでも紹介するミュージシャンの人数が増えるにつれて、どんどんと時間が足りなくなってきました。当時、私はフリーランスで翻訳の仕事をやっていましたが、仕事とサイトの作業との間で時間のやりくりがどうにもならなくなってきたので、いっそ、IMJでやっていることを仕事にしてしまおうと決断しました。その結果がレーベルであり、オンライン・ショップであり、年刊誌なのですが、なかでもオンライン・ショップは商売の中核と位置づけてました。アマゾンが日本でネットでの書籍販売を始めたのが2000 年、CDの販売は2001年からです。ネット通販が一気に市民権を得た頃で、それでいて当時アマゾンでのインディ・レーベルのCD販売は皆無に等しい状況でしたから、案外いけると結構楽観的でした。
 それでオンライン・ショップを立ち上げたのを機に、翻訳の仕事は辞めました。ただし、この時、まだ FTARRI という名前は生まれていません。オンライン・ショップも Improvised Music from Japan の名の下におこなっていました。Ftarri の名前を使い始めたのは、2007年からです。
 オンライン・ショップは当初、IMJのサイトで紹介しているミュージシャンの作品をできる限り常備し販売することを目指してました。海外のレーベルからのリリースもかなりありましたから、彼らのCDを揃えるだけでも結構な品数になりました。海外のミュージシャンのCDはあくまでついでに発注するというスタンスで、品数はそれほどでもなかったです。ただ、私自身が海外シーンの動向に対する興味を増していくに連れて、海外ミュージシャ ンのCDの品揃えが増えてきています。それでもFtarri のショップになった今でも、IMJサイトとの連動は維持したいという気持ちはまだあって、IMJ サイトで扱っているミュージシャンはできるだけ常備したいし、さらにはIMJ、Hitorri、Ftarri、Meenna の各レーベルからリリースのあるミュージシャンの作品もなるべく揃えたいと思ってます。
 とは言っても、資金面や置き場所には限りがありますからどこまで可能かはわかりませんが、まあ、これらは定番の品揃えですね。それ以外には、欧米の即興音楽シーンの動向やインディ・レーベルの情報に目を向けながら、これはと思う新譜を大体レーベルに直接発注して取り寄せています。

【Hitorriレーベル作品】
 



【Ftarriレーベル作品】
    

  

  

【Meennaレーベル作品】
  



 Improvised Music from Japan の活動の一環としてFtarriの活動があるのではないかと思うのですが、Improvised Music from Japanは他にどのような活動を行っていますか。簡単にご紹介いただけないでしょうか。

 現在、Improvised Music from Japan (IMJ) の活動は、日本で活動する即興演奏家(一部、海外で活動している日本人ミュージシャンを含みます)に関する情報(略歴、ディスコグラフィー、コンサート・ スケジュールなど)を提供するサイト運営のみです。スケジュールやディスコグラフィー以外は更新が思うように進んでおらず、不満だらけです。もっと他サイトへのリンクを充実させて、情報検索の利便性を向上させたいと常々考えているのですが、なかなか進まなくて。今後の大きな課題です。
 Ftarri は IMJ の活動の一環ではありません。IMJ が情報提供の場であるのに対して、Ftarri は商売の場です。Ftarri の名前を使い始めた2007年以来、Hitorri、Ftarri、Meenna の3つのレーベルを設けて、IMJ の名前でのCDリリースはやめました。また、オンライン・ショップの名前も Ftarri に変えました。
 実は英語版のオンライン・ショップは今も IMJ のサイトにあるのですが、これも近いうちに Ftarri に移すつもりです。商売に直接関わることは、Ftarri の名前の下におこなうことにしています。ほかには、フェスティヴァルを2回、開催しました(そのうち、1回は doubtmusic との共催です)。また、日英バイリンガルの本を数冊出版していますが、これらはすべて「Improvised Music from Japan」の名前をタイトルに付けています。情報提供の意味合いが強いと考えて、Ftarri を始めてからも、本のタイトルには敢えて IMJ を使い続けています。

【IMJバックナンバー表紙】
          



 ところでFtarriというネーミングは何に基づいているのでしょうか。

 Ftarri は「ふたり」です。元々、レーベル名としてスタートしていて、IMJに代わるレーベル名をずっと考えていて、2年ぐらい経ってもいい名前が見つからなかったのですが、ある時、ふと、ソロは「ひとり」、デュオは「ふたり」ってのはどう?、と頭に浮かびました。2年もかかってこれかよ、と言われそうですが、まあ何事もシンプルなのがいいと勝手に満足して決めました。ただ、これだとトリオ以上のCDをリリースできません。かといって、トリオを「みたり」、カルテットを「よたり」とやっていたら、レーベル数が際限なく増えてしまいます。それで、3人以上は「みんな」レーベルにしました。次に、インターネットのドメイン名として空きがあり、しかも発音が日本 語と似たものとなることを考慮しながら、ローマ字綴りを適当に作りました。結局、ドメイン名を取ったのは Ftarri だけでしたけど。


 実店舗不調の時勢の中で、あえて実店舗を開店された理由は何でしょうか。やはり様々な活動の拠点となるスペースの確保を目指したものなのでしょうか。

 何よりも、実店舗を持ちたかったからです。とにかく最初に実店舗を持ちたいという希望があって、それから、じゃあ、実店舗を持ったらなにができる?、どんな場所でどのくらいの広さがいい?、いくらの儲けが出ればやっていける?、とかいろんなことを考えてきて、ちょうどよさそうな物件が見つかったので一気に契約へと進めました。契約した以上、もちろんここを活動拠点にしなければならないわけで、確かに、活動拠点の確保が大きな目的と言えなくもありません。ずっとネット・ショップだけをやってきて家に籠った生活を続けてきましたから、お客様にしろ、取引先にしろ、ミュージシャンにしろ、実際に会って話をするのに都合のよい場を手に入れたいという願望が強くなっていたのも、大きく影響していると思います。


 拠点スペースということだけなら、ライヴ・スペースだけで店舗を併設する必要はなかったのではとも考えられます。店舗の併設により、ライヴに来る人たちとディスクとの出会いという「新たな遭遇の機会の創出」を期待していらっしゃるのでしょうか。

 ネット・ショップを運営してましたから、CDの在庫は十分あります。ですから、これを実店舗で売らない手はありません。もともと物を売るお店を持ちたかったので、まずは小売店です。そのうえで、なるべく多くの方に足を運んでもらうにはどうしようかと考えて、じゃあライヴ・スペースも、という具合に決めました。仕事上、既に多くのミュージシャンと付き合いがありましたから、やれるだろうと判断しました。それに、私自身がライヴ演奏を聴きたいというのもあります。自分のお店で演奏してもらえば、間違いなく聴けますから。


 今後、ライヴはどれくらいの頻度で開催される予定ですか。場所柄音量には制限がある(ドラム・セットは不可等)のではとも思いますが、いかがでしょうか。

 週に2~3回、ひと月に10回ぐらいを考えています。それほど防音ができていないので、爆音は無理です。ドラム・セットが普通にビートを刻むような、バンドものも無理ですね。


 これまでのライヴや今後の予定を見ると、すべて企画がFtarriではなく、別に企画者がいる形になっています。今後も企画持ち込み型(あるいは企画者へのオファー型)で運営していくことになるのでしょうか。あるいは貸しスペース的な運営も想定していくことになるのでしょうか。

 私のほうで企画することはほとんどないと思います。私としてはレンタル・スペースとみなしているのですが。


 今後のライヴやイヴェントの内容としてはどのようなものを想定していますか。今後もFtarriのショップで取り扱っているような音楽が主となっていくのでしょうか。あるいはそうした枠をはみ出したライヴ企画、たとえばダンス、演劇、映像、レクチャー、展覧会等も実施していくお考えはありますか。

 別に想定はしていないのですが、レンタル・スペースの売り込みを何もしていないので、当分はFtarri の存在を知っているミュージシャンなりオーガナイザーが企画するライヴばかりで、Ftarri が取り扱っているような音楽がメインになると思います。私自身は企画しないので何とも言えませんが、いずれ、それ以外の企画が持ち込まれることもあるかとは思いますし、それらを拒むつもりもありません。


 店舗で取り扱っている商品のうちオススメのものを何点かご紹介ください。個別の作品でなく、アーティストやレーベル、あるいはジャンルやシーン、傾向等でも結構です。

 オススメと言ったら、IMJ、Hitorri、Ftarri、Meenna の各レーベルの作品ということになってしまいます。まあ、それはさておき、最近は、いわゆるヴァンデルヴァイザー派の作曲ものと、フィールド・レコーディングもののリリースが特に目を引きますね。前者では、総本山の Wandelweiser(ドイツ)と作曲家Michael Pisaro のレーベル Gravity Wave(米国)のレーベルがありますが、ほかにもヴァンデルヴァイザー派の Antoine Beuger、Manfred Werder、Michael Pisaro らの作曲を即興演奏家が演奏するCDが近年、色々なレーベルからリリースされています。後者のフィールド・レコーディングものは、ピュアなものから加工を施したものまで様々ですが、Engraved Glass(英国)、Unfathomless(ベルギー)、3Leaves(ハンガリー)などのレーベルはリリースが活発です。このほか、英国の Another Timbre とポーランドの MonotypeRec.のふたつの即興音楽レーベルは、ここのところ単にリリース数が多いだけでなく質も高くて、特に勢いを感じますね。

【推薦レーベルHP】
Wandelweiser  http://www.timescraper.de/wandelweiser_records.html
Gravity Wave  http://michaelpisaro.blogspot.jp/
Engraved Glass  http://engravedglass.blogspot.jp/
Unfathomless  http://www.unfathomless.net/
3Leaves http://www.3leaves-label.com/releases.html
Another Timbre http://www.anothertimbre.com/
MonotypeRec.  http://www.monotyperecords.com/


 最後にFtarriから皆さんに発信したいメッセージがあればどうぞお願いします。

 メッセージじゃなくてすみません、少し宣伝させてください。Ftarri のオンライン・ショップ同様、CDはすべて消費税抜きの価格です。また、ポイント・カードも用意しております。ライヴの入場料でもポイントがたまります。 場所柄、結構アクセスもいいですので、近くに来ることがあれば、ぜひ寄ってみてください。ドアがいかついので、ちょっと入りづらかったりするかもしれませんが、入ってしまえばなんてことはないです。皆様のお出でをお待ちしております!!



 ありがとうございました。ぜひ一度、Ftarriの実店舗やオンライン・ショップを訪れてみてください。オンランイン・ショップはつい最近、新入荷情報が更新されたばかりです。関連ページのURL等を以下に掲げておきます。
 Improvised Music from Japan  http://www.japanimprov.com/japanese/index.html
 Ftarriオンライン・ショップ http://www.ftarri.com/cdshop/index.html
 Ftarri水道橋店 http://www.ftarri.com/suidobashi/index.html
 IMJのCDと雑誌 http://www.japanimprov.com/imjlabel/index-j.html

  
   Ftarri水道橋店MAP    Ftarri水道橋店入口部分写真
                  地下へ階段を降りると左側にドアがあります。


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インタヴュー/取材 | 21:17:52 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
感謝いたします。
はじめまして。
最近即興、実験音楽、自作電子楽器等のジャンルに目覚めた者です。
先日Fttariに行きまして、あのようなお店があることに物凄く感動したばかりでした。
しかしFttariさんのホームページはあまりにもクールで、アーティストやお店の成り立ちについて謎だらけで、調べてみようと思った矢先にこちらの記事に出合いまして、大変感謝しております。

今後もこちらのブログを参考にさせて頂き、なお一層まだ見ぬ世界の探求が出来ればと思っております。

長文失礼しました。
2015-07-17 金 12:44:25 | URL | たびぱぱ [編集]
Re: 感謝いたします。
> はじめまして。
コメントありがとうございます。Ftarri水道橋店においでになりましたか。私のブログの記事が、Ftarriの紹介に役立ったようで何よりです。Ftarri店主の鈴木さんも喜んでくれるでしょう。今後ともよろしくお願いいたします。
> 最近即興、実験音楽、自作電子楽器等のジャンルに目覚めた者です。
> 先日Fttariに行きまして、あのようなお店があることに物凄く感動したばかりでした。
> しかしFttariさんのホームページはあまりにもクールで、アーティストやお店の成り立ちについて謎だらけで、調べてみようと思った矢先にこちらの記事に出合いまして、大変感謝しております。
>
> 今後もこちらのブログを参考にさせて頂き、なお一層まだ見ぬ世界の探求が出来ればと思っております。
>
> 長文失礼しました。
2015-07-18 土 18:39:30 | URL | 福島恵一 [編集]
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