2016-11-10 Thu
この週末はFTARRI水道橋店で行われるLes Trois Poiresのライヴへ。
「3つの梨」のライヴは今度で3回目の体験となるのだが、依然として、その演奏の素晴らしさをうまく言語化できないままでいる。謎めいた奥深さに惹かれながら、種も仕掛けもない、すべてが白日の下にさらされた残酷な明澄さに、もっともらしい解釈はにべもなく撥ねつけられてしまう。
硬直した観念性やせわしない身体の震えを伴うことのない、初冬の朝を思わせる、きっぱりと屹立し、静かに澄み渡った響きに耳を浸していると、まったく新たな事態に遭遇した緊張にぴりぴりと身が引き締まる。新たな事態というヤツは、いつもこのように何気なくさりげなく、いつの間にか傍らに佇んでいるのだ。
その新しさをうまく言葉にできず、他の誰かに伝え得ない自分の無力さをもどかしく思いつつ、それはきっと、空中でゆっくりと回転する3次元立体が、床平面に投げかける影の刻々と姿かたちを変える様を、同じ床平面に閉じ込められて見詰めている2次元生命体の感慨に近いのかもしれない……などと、ふと考えてみたりする。魅惑的な謎の彼方には簡明な原理が存在しているのではないかと。
今回の演奏について、津田貴司は次のように語っている。「今度の土曜日11月12日の『Les Trois Poires』では、厳格な決め事に基づいた演奏を行います。作曲でもないけれど即興でもない。といってゲームピースのようなものでもない演奏になると思います。どうぞご期待下さい。」
https://www.facebook.com/events/1111667795553048/

11月12日(土) FTARRI水道橋店
午後7時30分開場、8時開演
『Les Trois Poires』:tamaru (ベース・ギター)、hofli [津田貴司] (エレクトリック・ギター)、松本一哉 (パーカッション)
1,500円

撮影:松本一哉
11月23日(水・祝)は同じFTARRI水道橋店で大上流一 (ギター) とLes Trois Poiresのひとり tamaru (ベース・ギター)のデュオが行われる。大上は前回のLes Trois Poiresのライヴに来ていた。彼もまた謎の奥深さに魅せられたのか、それとも「簡明な原理」の一端を垣間見たのか。いずれにしても要注目のライヴである。
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