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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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背景としてのヒューマン・ネットワーク  Human Network As a Background
 前回、当ブログに掲載した「『演る音楽』と『聴く音楽』の間」に対して、益子博之が早速に自身のブログで反応を返してくれている(『益子博之のうたかたの日々:「知っていること」「知らないこと」と、「見て/聞いてしまうこと」「見えて/聞こえていないこと」と』 http://gekkasha.jugem.jp/?cid=43768)。議論を採りあげていただいたことに感謝するとともに、今回はこれについて多少補足することにしたい。


 先のブログで彼は、主として私が「ミュージシャンによる作品選定の背景にミュージシャン同士の人間関係を見すぎではないか」との旨を記したことに対して、なまじ「知って」いると「見えた」気になってしまう‥と自省したうえで、あらかじめ知っている/身に着いている情報や枠組みが、いかに知覚/認知に影響を及ぼすかについて、自論を展開している。

 ミュージシャン同士の人間関係が、ミュージシャンによる作品選定に背景として影響を及ぼすのは、言わば当然のことと言える。実際、自分自身あるいは自分のグループのメンバーが参加した作品しか挙げていない者もいる。また、一見、全く異なる作風の演奏をしているミュージシャンの間に共演のネットワークが張られていることも少なくない。たとえば、前回、ジャズから遠い存在の代表として挙げたMike PrideはNate Wooleyと別バンドをを組んでいたことがある(Nate WooleyはPeter Evansと共に現在のNYシーンを代表するトランペット奏者だろう)という具合。ここにNYの演奏者ネットワークの健全な脱領域性を見ることもできよう。その意味では、私の読みは所詮「裏読み」に過ぎない。

 むしろ私があそこで「背景にミュージシャン同士のネットワークを見ること」をあえて問題視した理由は、日本国内では音楽に限らず様々なシーンで、アーティスト間のネットワークというより露骨に言えば社交/交友関係等の人間関係だけで、すべてが語られてしまいがちだからである。そのような理屈に慣れた/染まった読者は「ああ、NYも結局は人間関係なのね」で終わってしまうのではないか。「現地へ赴いて現場を肌で知っている」益子博之が言うんだから‥と、むしろ益子の本来の意図が曲解されてしまうのではないか‥と不安に思ったからだ。

 NYのシーンの動向を人間関係だけに解消することなど、もちろん出来はしない。いまさら「人種の坩堝」と耳タコの表現を持ち出すまでもなく、人種の違いがあり、宗教の違いがあり、政治志向から性生活のパートナーの選び方まで幅広い文化や価値観の多様性があり、それらが公然と表明されている場合も多い。クラシックをはじめ「○○界で成功するためにはゲイでユダヤ人でなくては‥」と噂されているのも確かだが、もちろんそれだけではあるまい。

 別に「誰にでも平等に機会が開かれている」などと、色あせたアメリカン・ドリームを今更持ち上げようと言うのではない。ただ、何かを人間関係に解消しようという目論見は、これらの大小の差異にぶつかってあえなく破綻するであろうことを指摘したいのだ。逆に言えば、「ニッポンの○○」式の日本国内のシーンの整理が人間関係論だけで出来てしまうのは、それらのシーンの構成メンバーの〈均質性/等質性〉が前提として共有されているからにほかならない。つまりは所詮、狭く閉じた世界の中で繰り広げられるオママゴトに過ぎないのだ。


【MIKE PRIDE 七変化】


Mike Pride(dr)とNate Wooley(tp)が共演する「Evil Eye」


フォノグラフィーにも関わるMarcos Fernandesと共演


グループ名もスゴイし、中央の本人もブラック・メタル風


Mike Prideがゲスト・キュレーターを務め、
Bunda Loveで出演するイヴェントのフライヤー


Mike Prideと日本人ヴォーカル/ギターの絶叫ノイズ・ロック
なぜかこれにもNate Wooley参加


Bunda Loveにもゲスト参加するJamie Saft(key)とMike Prideのデュオ
グループ名も過激だがサウンドもノイジー


これはブルース・バンドだそう。グループ名はお菓子の名前なのに。
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批評/レヴューについて | 23:45:25 | トラックバック(0) | コメント(0)
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