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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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ケヴィン・エアーズ(1944〜2013)追悼  Kevin Ayers(1944−2013) RIP


 2月18日にケヴィン・エアーズが亡くなったことを遅ればせながら知った。68歳だった。ここでは彼の作品に関する思い出を語ることで哀悼の意を表したい。


 私は彼のよい聴き手ではなかった。最後の作品となった『Unfairground』も聴いていないし。それでも初期の作品やBBC等のライヴ音源には何度となく耳を傾けた覚えがある。

 彼独特のノンシャランな洒脱さとノンセンスなヒューモア感覚は極めて英国的なものだが、だからといって英国に彼のようなミュージシャンが何人もいるわけではない。「オリジナル」ソフト・マシーンの盟友であるデヴィッド・アレンやロバート・ワイアットも、幾つも共通する資質を持ちながら、ケヴィンに似ているとは到底言えない。さっさとイビサ島に隠遁を決め込んだり、『スウィート・デシーヴァー』を制作してキング・クリムゾン「グレート・デシーヴァー」をやんわりと(だが核心をとらえて)揶揄したり、バナナで作った駒で大真面目にチェスを指したりする「優雅なだらしなさ」と言うべきエピキュリアンぶりは、おそらく誰にも真似できない。そのしどけなく長椅子に横たわるような脱力した歌い方も、そしてぞくっとするようなセクシャルな深みをたたえた声音も。

 彼の音楽を初めて聴いたのは、たぶん80年代初めに池袋西武アール・ヴィヴァンで購入した『ジョイ・オヴ・ア・トイ』と『シューティング・アット・ザ・ムーン』を併せて収めた2枚組LP(ジャケットを差し替えての再発盤)だったと思う。スズの兵隊やテディ・ベアのぬいぐるみが渾然一体行進しているような幕開けから一気に引き込まれた。にもかかわらず、その後すぐに彼の作品の収集に走らなかったのは、当時手に入りにくかったという理由からだけではなく、キング・クリムゾンやヘンリー・カウ、シェーンベルクやヴェーベルン、デレク・ベイリーやエヴァン・パーカーらの張り詰めたテンションの高さに耳の焦点を合わせていた当時、彼の底抜けに明るい楽天性に耳を浸すことに何となく後ろめたさを感じていたからかもしれない。

 それから随分たって彼の作品のCD再発が進んでからは、以前に本ブログに追悼記事を掲載したロル・コックスヒルの参加に着目して、ライヴの音源を幾つか手に入れたりした。ステージ上でコミカルな寸劇が繰り広げられたりして、なかなか一筋縄では行かない、凝った、そして「モンティ・パイソン」的に何でもありの脱線だらけの構成となっている。ロル・コックスヒル、デヴィッド・ベッドフォード、マイク・オールドフィールドが顔を揃えた「ホール・ワールド」は、ロックとかジャズとかポップスといった既成の枠組みにとらわれることなく音楽を溢れ出させる、本当にクリエイティヴなすごいバンドだったんだなと改めて思わずにはいられない。

 そんなわけで私が選ぶ彼の代表作5枚は、結局のところ初期作品+ライヴということになってしまい、すでに彼を知っているファンには何ら目新しい点のない、まったく代わり映えのしないものなのだが、それでも一応挙げておこう。ジャケット・デザインの不思議ぶりを見ているだけでも楽しい。
  
     Joy of a Toy         Shooting at the Moon     Whatevershebringswesing

  
The Confession of Dr.Dream BBC Radio 1 Live in Concert 最初に手に入れた再発盤
and Other Stories  


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音楽情報 | 17:15:47 | トラックバック(0) | コメント(0)
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