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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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アンビエント・リサーチ第2回
5月15日(土)開催の金子智太郎&虹釜太郎「アンビエント・リサーチ」行ってきました。いろいろと触発され、考えさせられました。貴重なレクチャーだと思います。というわけで遅ればせながらのレポートです。

第1回目は吉祥寺Sound Cafe dzumiでの開催でしたが、今回は場所を移して代々木20202。席に着いて当日配布の資料を読んでいると、産業ノイズの陰から幽玄なリコーダー・アンサンブルが‥「こ・これはMnemonists / Hordeではないか‥」。当たりでした。本日のテーマであるFrancisco Lopezの愛聴盤なんだそーです。自宅以外でMnemonistsを聴くのは初めての体験でした。
今回の進行は、金子さんの書かれたテクスト「聴覚的パノプティコン:フランシスコ・ロペスの『絶対具体音楽』」に沿って、ロペスの作品や関連作品を聴いていくというもの。当日のプレイリストは金子さんのブログを参照(http://d.hatena.ne.jp/tomotarokaneko/)。音源ではやはりLopezのSelva,Wind,Warzawa Restaurantあたりと、あと思いのほか地下調整池のテープが良かったですね。

今回の批評的/理論的ハイライトは、金子さんがキム・コーエンによるロペス批判(デリダのフッサール批判を援用)をばっさりと批判しているところでしょう。この批判には同感です。
コーエンはデリダのフッサール批判を引いて、瞬間でなく持続がある以上、純粋ではなく記憶等が混在してくるというわけですが、ロペスがいわば原型にしているシェフェールの構成的作品と異なり、ロペスが密林の音を使った「La Selva」等の作品は、制作者の意図に帰着させることができず、さらに音群のどこに焦点を合わせればよいかわからないため(彼は音の発生源となる動物種を特定するような録音/編集をあえて避けている)、記憶や予想を用いながら聴けないように思います。ある意味、像をとらえられないまま、聴かされてしまうというか。そうした不意討ちされ途方にくれた状態を、ロペスは目指しているようにも思えます。

ロペスによる「La Selva」の自作自解ライナー(訳文が資料に掲載)を見ると、自分が「耳の枠はずし」で「不定形の聴取」として考えていたこととのシンクロ率の高さに驚かされました。たとえば次のくだり。
「前景/背景に意図的でアプリオリな区別はなく、耳と同じようにマイクの位置にもとづく音の不可避の出現だけがある。私は客観主義をとるのではなく、注意の『焦点』が音環境全体にあると考える」
あるいは「ここで擁護したいのはサウンド・マターそれ自体の超越的次元だ。私の考えでは、録音の本質とは音よりも豊かで重要な世界の記録や表象ではなく、音の内的世界に焦点をあわせ、接近する方法である。表象的/関係的レベルが協調されると音は限られた意図や目的を帯び、音の内的世界は浪費されてしまう」

う~ん。フランシスコ・ロペスって、ローワーケースとかやってる、やたら多作なワケのわからない人って印象だったのが、急に像を結んできました。やはり金子さんがブログに掲載している彼の愛聴盤(Mnemonists,Werkbund(=Asmus Tietchens),”Erazerhead”Soundtrack)にも親近感を覚えるし。
彼が愛読しているというシオランでも読んで勉強することにしましょう。

なお、虹釜さんの連載テクスト「なぜアンビエントを聴くのか」は、大きく「ディストピア・アンビエント」に踏み込んでいて、これにも大変触発されました。「ソラリスの陽のもとに」も読み返さないと‥。たぶん私の「ディストピア・アンビエント」理解は間違ってるんですけど、それでもいいんです。触発されて思考が動き出せば。入力がなけりゃ出力もないんだから。
虹釜さんは興味深い問いを投げかけることができる稀有な批評家だと思います。つまんない答を言って回る人はたくさんいるけど。
ということで、ちゃんとしたレポートになってませんがご勘弁ください。


フランシスコ・ロペス「ラ・セルヴァ」


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ライヴ/イヴェント・レヴュー | 22:41:17 | トラックバック(0) | コメント(0)
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