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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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松、風、音、夜話、甘い声  Pine Tree, Wind, Sounds, Night Story, Sweet Voices
 11月10日(月)開催のリスニング・イヴェント『松籟夜話』のフライヤーが、相方を務めてくれる津田貴司から届く。デザインをPDFファイルで見てポストカード仕立てかと思っていたら、ちょっと和紙風にしんなりとした手触り。最初に見た時に頭に浮かんだ「何だか和菓子みたい‥」という印象が、深いエコー付きで脳内に鳴り響く。
松籟夜話ちらし縮小


 でも、「松籟夜話」って、もしこの世に存在するとしたらどんな和菓子だろう。「松籟」は松葉が風に鳴る音だから、やはり緑色をしているのだろうか‥。もしかして‥とネットで「松籟 和菓子」等と検索してみると、果たして「松韻」という菓子が見つかった。薄茶の表面に浅く松ぼっくりの模様が刻まれている。でも、これでは「風」や「音」の成分がないなあとつぶやいて、そう言えば「松風」という有名な京菓子があったはずだと思い出す。これまた検索すると、ありましたありました。味噌が入って、ケシの実が付いて、だいたい焼き菓子だし、どこが「松」で「風」なんじゃい‥と詰め寄りたくなりますが、これはとても由緒ある京菓子。松葉の形を和菓子ではどう表現するのかと思い調べてみると、針のような細さを写実的に追い求めるのではなくて、むしろ概念的に指で印を結んだような形に収めている。これはこれでアジア的な印象。
松韻 味噌松風 御所松葉


 結局、「松籟夜話」がどんな和菓子かの考察は全然深まらなかったけれど、緑にこだわる必要がないとわかったのは収穫かも。表面に挽茶を振ったりしたら、何だかよくある感じになっちゃうものね。表面は薄茶か生成りの色でよいとすれば、外側は大好きな韓国伝統宮廷菓子トゥトゥプトクをまねして、中の餡をシナモンの香りの薄い餅で包み、表面に剥いた小豆の粉を振ろう(きな粉ではなく)。さて、肝心の餡をどうするか。トゥトゥプトクの餡は胡桃、柚子、棗、栗、松の実といった、昔ながらの製法の柚餅子のような配合だが、これではたとえどんなに味わい深くても「夜話」にはなるまい。ここはやっぱり黒くないと。それでは小豆の粒餡に黒糖を入れて艶やかに炊いたものはどうだろう。黒光りする色合いの奥深さ。ゆるやかに響くような甘さ。黒糖の甘味のしっとりとした重さと餅のねっとりとした舌触り、ほのかに漂う肉桂の香りとの相性もいいはずだ。
トゥトゥプトク


 でも、もう少し何か欲しい。虫の音に満たされ、すすきが風にそよぐだけの「夜」ではなく、「夜話」なのだから。語りの持続が、声のゆったりとした甘やかさが、何か一瞬で終わってしまわず、ゆるゆると後を引くようなものが‥‥と思いを巡らして、柿はどうだろうと思いつく。砂糖が手に入るようになるまで、干し柿は重要な甘味料だったし。せっかくだから、干し柿を戻したものと生の柿を細かく刻んで両方入れてみよう。歯触りに変化も出るだろうし。その分、黒糖の量を少し加減して。
 柿と言えば、鳥取で入った喫茶店「1erぷるみえ」がFacebookに投稿していた「柿のタルト 蜂蜜風味のマスカルポーネ添え」には意表を突かれたなあ。「火を通した柿の美味しさを、ぜひご賞味ください」とのコメントにも大いにそそられたっけ。
柿のタルト


 というわけで、『松籟夜話』どうぞおいでください。和菓子は置いてませんけど(笑)。


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ライヴ/イヴェント告知 | 23:09:28 | トラックバック(0) | コメント(0)
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