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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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クォーツ・レーベルって何? 『松籟夜話』第二夜に向けて  What is QUARTZ Label ? Towards the Second Night of Listening Event "Syorai Yawa (Night Stories As Pine Tree Leaves Rustling in the Wind)"
『松籟夜話』第二夜ちらし_convert_20150125143113
 来る2月1日(日)に『松籟夜話』第二夜を開催できる運びとなった。今回のテーマは先頃来日したデヴィッド・トゥープ(David Toop)が70年代後半から80年代初めにかけて運営していたレコード・レーベルQUARTZの作品群。彼の来日講演を巡るFacebook上のやりとりを通じて、再発されていないQUARTZの作品って、意外と知られてないんじゃないか‥‥と感じたのが今回の企画のきっかけ。幸いレコード棚を漁ったら7枚全部揃っていたし。
 とは言え、そこは『松籟夜話』。QUARTZの作品自体はあくまでも入口に過ぎない。そこから民族音楽とフィールドレコーディングを巡る想像力のあり方を、どう掘り下げて行けるか、乞うご期待。
 と言いながらも、それではあまりに事前の情報が少なすぎるので、QUARTZ全作品を以下に簡単にご紹介しておきます。なお、当日、すべての盤がかかるかどうかは保証の限りではありません。他の関連作品もかけてみたいと考えているし。


!QUARTZ 001
Sacred Flute Music from New Guinea : Madang

クォーツ・レーベルの第一弾はニューギニア奥地で現地録音された聖なる笛の音楽。民族音楽のフィールドレコーディングも行っていたラグナー・ジョンソンと知り合い、ニューギニアに出かける彼に、フルート音楽の録音を持ちかけたことが、クォーツ創設のきっかけとなった。笛の音というよりも、うごめく息と管の鳴りそのものであるような響き。
試聴:http://coconutsdisk.com/ekoda/?p=8444


!QUARTZ 002
Windim Mambu Sacred Flute Music from New Guinea : Madang vol.2

前作の続編。より短い、打楽器を伴う演奏を多く収めている。遠くを見詰めたまま、熱帯雨林の奥、たちこめる虫の音の間へ、深い夜の底に沁み込んでいく音楽。
試聴:http://www.sheyeye.com/?pid=52021618


!QUARTZ 003
David Toop, Paul Burwell / Wounds

民族音楽の現地録音を収めた前二作品とは打って変わって、デヴィッド・トゥープとポール・バーウェルのフリー・インプロヴィゼーションによるステージ・パフォーマンスを収録。長らくデュオで活動を続けてきている彼らだが、ステージ上に並べた音具類を用いた演奏は、演奏者間のコール&レスポンスのうちに閉じることなく、むしろオブジェに内包されていた響きを空間に解放していく趣がある。


!QUARTZ 004
Hekura Yanomamo Shamanism from Southern Venezuela

トゥープ自身がオリノコ河を遡上し、ヴェネズエラ奥地の未開集落に赴いてシャーマニズムの儀式を現地収録。怒号と嗚咽、呪詛と調伏がねじれながら交錯するドキュメント。
試聴:http://sound-art-text.com/post/75781362699/hekura-yanomami-shamanism-from-southern


!QUARTZ 005
Max Eastley, Steve Bersford, Paul Burwell, David Toop / Whirled Music

マックス・イーストリー制作による、ブルローラーをはじめとした「旋回させることにより音を発する楽器」の演奏集。かなりの重量の銅鑼等、金属製の音具を全力で振り回す演奏は、危険防止のため防具を装着して行われた。遷移する音響とドップラー効果、けたたましいノイズの奔流のアマルガム。
試聴:http://www.sheyeye.com/?pid=47232381


!QUARTZ 006
Alterations / Up Your Sleeve

電化ロック・バンド編成のフリー・インプロヴィゼーション・グループ「オルタレーションズ」によるライヴ演奏集。David Toop, Steve Beresford, Peter Cusack, Terry Dayというメンバー構成から伺える通り、知的かつ痴的な「ひねくれ脱力とんち音楽」。オモチャをいじくり倒した幼児退行症的傾向が強烈。
試聴:http://www.sheyeye.com/?pid=53956902


!QUARTZ 007
Frank Perry / Deep Peace

Keith Tippett, Julie Tippettsとフリー・インプロヴィゼーション・グループOvary Lodgeを結成していたことで知られる打楽器奏者のソロ。大量のゴング等を用いた瞑想的演奏は脈々と長く引き伸ばされた残響の揺らぎを介して、室内の気象を操作する。Robert Frippが推薦文を執筆。
試聴:http://www.sheyeye.com/?pid=43936051


 この70年代後半から80年代初めの時期が、トゥープの最も能産的な時期だったのではないかと私は考えている。フリー・ミュージック界の「アンファン・テリブル」として「聖化された」即興演奏の権威を引きずり降ろし(Alterationsもその一例ととらえられよう)、民族音楽の現地録音を手がけ、そこで得られたであろう別の世界観に基づくパフォーマンスを実践する。その中にはクォーツからリリースされている『Wounds』や『Whirled Music』と並んで、共にヴェネズエラ奥地を訪ねたNestor Figuerasとの共演「Cholagogues」(Bead)や13時間以上にも及ぶマラソン・コンサートの開催(抜粋音源は『Circadian Rhythm』としてIncusからリリースされた。タイトルはそこで即興演奏/生活/呼吸が基づくべき原理を暗示していよう)等が含まれている。
 彼はLondon Musicians' Collectiveの運営に深く参画していくとともに、ポップ・ミュージックの粗雑な原型が持つ無垢な美しさに惹かれていく。49 Americans, Flying Lizards, The Slits等に深く関わり、Lol Coxhillたちと変名でPromenadersを結成し、ポップ・スタンダードや俗謡をカヴァーする。民族音楽、ラテン・ミュージック、フリー・インプロヴィゼーション、映画音楽、ラップ等を幅広く取り扱う音楽誌『Collusion』を創刊したのもこの頃だ。本当にあの頃(個人的には1979年から82年か)は音楽が特別な可能性を帯びて光り輝いていたような気がする。

音の海 しかし、その後、活動は行き詰まりを見せ始める。1984年には『ラップアタック』を上梓して音楽ライターに転身。1986年にAlterationsが解散するとライヴ演奏に距離を置くようになる。英国『WIRE』誌等を中心に活躍する「アンビエント・ミュージックの導師」としてのトゥープが姿を現すのは、さらにその後、1990年代に入ってからのことだ。当初、アンビエント・ミュージックの概説書を目指したという『音の海』(1995年)は、断片化され、丁寧にシャッフルされた情報の海に浮かんでいる。2000年代に入り、彼がコンパイルした『Haunted Weather』には日本のシーンも採りあげられ、国内でも飛躍的に知名度が高まることになる。日本において多くの人たちは、ここから彼を知ることとなった。
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ライヴ/イヴェント告知 | 14:43:23 | トラックバック(0) | コメント(0)
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