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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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犬も歩けば棒に当たる その2  A Flying Crow Always Catches Something vol.2
 たまたま、久しぶりにDU渋谷店B1のジャズ売り場をのぞいたら、なぜか中古盤コーナーにLol CoxhillのLPが10枚以上も出ていた。比較的新しいNato盤(Chabadaを含む)が中心だが、記念すべき第1作『Ear of Beholder』もあったし、美麗なジャケットで知られる『Toverbal Sweet』は壁に掛けられていた。へえ~と思いながらジャケットを繰っていって、はたと手が止まる。「え、こんなものが何でここに‥」。

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 この『Murder in the Air』、『フリージャズカタログ』で存在は知っていたものの、現物を拝むのは初めて。同書には写真を入手できなかったのかジャケットも紹介されていなかったから、シングルだと言うので、てっきり同レーベルの1番Jonny Rond Trio(これもCoxhill入り)同様7インチだとばかり思っていたら、ユーモラスなドローイングによる、しっかりとしたジャケットの付いた12インチ。『フリージャズカタログ』の紹介ではCoxhillの朗読を題材とした作品としかわからなかったが、ジャケットを裏返すと、William J.Stoneにより1930年代につくられた演劇作品を、David Bedfordが再発見し、彼とCoxhillの二人で70年代前半に上演していたと書いてある。その後、1977年のBracknell Jazz Festivalで彼ひとりによるヴァージョンを上演し、Chiltern SoundレーベルのプロデューサーMichael Eagletonにレコーディングをもちかけられたと。クレジットによれば、彼は何と1人で7役をこなしている。これはやはり入手せねばなるまい。いささかプレミアが付いていて、「こんなもんオレ以外にだれが買うんじゃ‥」と文句を言いながらもレジに。

 帰宅後さっそく聴いてみると、内容はCoxhillが声音を変えて(電子変調もあり)、7役を演じ分ける独り芝居。バックにはソプラノ・サックスの演奏とエレクトロニクスが。収録時間はすごく短いし、血眼になって探すようなものではありません。念のため。なお『Spectral Morning』(Emanem)にはRick Rueのサンプラー等を交えた新しい演奏が収録されているし、1972年のBBCラジオの録音を収めたKevin Ayres『Ayers and Archibald in BANANA FOLLIES』には、俳優であるというGeorge WilsonとLol Coxhillによる上演が、当時のライヴの一コマとして収録されている。ちなみにこの『BANANA FOLLIES』はBedford&Coxhillによる『Ear of Beholder』収録曲の俗謡風演奏なども聴けて、Coxhillファン(などというものがこの世に存在するとして)にはオススメ。
本作の音源はネット上に見つからなかったが、データ等については以下を参照。
http://www.discogs.com/Lol-Coxhill-Murder-In-The-Air/release/1839991


 ついでに、比較的最近の中古盤の発掘状況を。まあ単なる自慢話ですので読み飛ばしてください。苦情は受け付けておりません。

犬2 まずは最近になって発掘録音のリリースが相次ぎ、再評価の機運が高まっている(?)Arnold Dreblatt。クリア・ヴァイナルの片面LP『Point Source / Lapse』(Table of the Elements)を。Jim O'Rourke, David Grubbs, Kevin Drumm参加というと「おおっ」と言う人がいるかも。
http://www.discogs.com/Arnold-Dreyblatt-Point-Source-Lapse/release/709248

犬3 打楽器奏者にして音響彫刻家でもあるSteve Hubback主宰のグループMetal Moveによる『Runecarver』(FMR)。邪悪な紋章を思わせる金属打楽器の造形とは裏腹に、決してメタル系ではなく、特徴的な音色や残響を活かしながら古代へと想像力をさかのぼらせる。
http://www.discogs.com/Metal-Moves-Runecarver/release/3939547


犬4 『Easter o Mount Athos』のvol.2,3がなかなか手に入らないものだから、何とか手元に引き寄せようと、東方教会系は見かけたら必ずチェックしている。CD4枚組集成『Liturgies Orthodoxes』(Harmonia Mundi)は半分の音源はすでに手元にあるものの、4枚で500円台という価格の安さに魅せられて入手。同じ流れでキング・レコード「世界宗教音楽ライブラリー」から『東シリア教会 エジプト・カルデア主教の典礼歌』と『コプト教会の礼拝』を。こちらはちょいプレミア付き。

犬5 90年代前後の即興音楽については、リアルタイムで聴いている量が少ないので、面白そうなものがあればチェックしている。
Marina Rosenfeld『The Sheer Frost Orchestra - Drop,Hop,Drone,Scratch,Slide&A for Anything』(Charizma)は、おそらく女性のみによる、エレクトリック・ギター12名、ラップトップ5名から成る大編成。参加メンバーを眺めるとKaffe Mathewsあたりいかにもだが、Ikue Moriの名前にはちょっとびっくり。タイトル通りのざわめきアンサンブル。
http://www.discogs.com/Marina-Rosenfeld-Sheer-Frost-Orchestra-Drop-Hop-Drone-Scratch-Slide-A-For-Anything/release/986981

犬6 Bhop Raineyのことを知ったのは、Michel Doneda『Places Dans L'Air』への参加によってだった。その後、Greg Kelley等とのNmperignでの活動は多少聴いているのだが、何としても情報が少ない。そこで出会ったのが『Crawlspace / Universal Noir』(Tautology)。Jack WrightやTaylor Ho Bynumの参加にへえ~と。案の定、前半の研ぎ澄まされた強度が、フリー・ジャズの空間にばらけてしまう。
http://www.discogs.com/Bhob-Rainey-Eric-Rosenthal-With-Jack-Wright-Taylor-Ho-Bynum-Crawlspace-Universal-Noir/release/4788481

 以上、ブログ読者諸兄の興味を惹きそうなところを。だが実際には、以前に『Niemen vol.1』を手放してしまって以来、密かに探していたNiemen『Marionetki』や、これもLPには縁のなかったAlchimedes BadkarのCD再発盤の入手、そして、これもずっと探していた『ダークネス・アンド・スノウ』で福間未紗5作品が揃ったことの方が喜びが大きかったりするのだが。てへっ。
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ディスク・レヴュー | 15:00:07 | トラックバック(0) | コメント(0)
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