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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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「ライブラリ」に呼ばれて  Called by "Library"
 季節は巡り、ライブラリが再び喫茶茶会記に還ってくる。

 彼らのライヴ演奏に初めて触れたのは、2014年の11月28日だった。会場である喫茶茶会記では9か月ぶりのライヴであることがアナウンスされた。続いては2015年3月6日のライヴ。これは3か月という彼らにしては早いインターヴァルで開かれた。そして今回、10月19日(月)に彼らのライヴが行われる。今度は7か月ぶり。

 遅々とした歩みは、彼らのゆるやかな、だが着実な熟成に、そっと寄り添っている。

 バンド・リーダーであり、メイン・コンポーザーである蛯子健太郎は、「物語自身のスピードで」とライヴに副題を付ける。彼は自身のブログでも、「物語(り)」あるいは「速度/スピード」に幾度となく言及している。


文学に限定される事なく、物語として認知・受容される時間の流れ・歩み。「物語自身のスピード」をキーワードに、ライブラリというバンドで、活動してきた。[2015.8.13]

その「重み」に比例するかのように、「物語」が会いに来る、あたかも土砂降りの明け方に、もう一人の自分が、ドアの前に立って、傘の下から、こちらをじっと見ているかのように。
そのようにして、「あなたの物語」にあなたは接近していく。
物語:時間についた名前。[2015.8.9]

時間についた名前。
それは、データではなく物語りだろう。[2015.2.3]

データプロセスのスピードや、利便性に煽られて、そんな事を、あらゆる分野で、やっていたら、「たかがデータ」と言っているその対象そのものが「たかが自分」と同じだという落とし穴に、気付かないとしたら、「命」はどんどん「物ですらない、経済効果のみで測られる、商品」に近付いて行くのではないか、と、そして、何となく、現在は、それが、もう開き直って、「良い商品」が「短期間の神」なのは、「当たり前じゃん」と言って、肩で風を切って歩いている、どこか、ある「流れ」に呑み込まれた、荒っぽい、機械人間の世界が来ているのかも知れません。[2014.12.24]

結局のところ、我々は、おしなべて、早く速く進む事には馴染みがあるけれど、ゆっくりと進む事に関しては、全く慣れていない、アマチュアなのではないか?と思われます。
だから、いざ、ゆっくりと進むべき状態に入ると、人は鬱傾向になるのかもしれません。
もう一月も経ちますが、前回11月28日の「ライブラリ」のライブ以来、自分の中の何かが、ゆっくりと高度を下げつつ、軟着陸体制に入ろうとしている様です。
この、社会的な意識のスピードと、「軟着陸」しようとしている何か(たましい?)の速度の違いの激しい事!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「!」の数が乖離の目盛りです。
実はこれ、自分は自分なりの形で、不器用に、苦しみつつも、自覚(しようと)していますが、身の周りの人達に、目を向けると、表面の見た目よりも、ずっと深刻な問題なのかもしれません。
そうなってみないと分からないものです。
ゆっくり進む事を、頭ごなしに、粗雑に、軽視して、ゆっくりな何かに「超高速」で対処することばかり、我々は、やってきたのかもしれませんね。
普段、この日記では、あまり我々、という主語は使わないのですが、今回は何故かそうなりました。
結局「物語り自身のスピードで、物語りを読む」という、速度、は、遥かに、意識の想定外まで、繫がっている様に、感じるのです。[2014.12.19]


 ここで「物語」はストーリーや筋書きというよりも、無機質な情報/データが高速で処理され滑走する抽象的な時間/速度ではなく、生きられる時間の流れとしてとらえられているように思う。芽が伸び、つぼみがふくらみ、葉が茂って、陽が長く影が短くなり‥‥というような。
 それは人生においても、波乱万丈のドラマの連続や、勝利に向けた脇目も振らぬ猛進であるよりも、むしろ、なかなか過ぎていかない時間、待つだけしかできない境遇、宙ぶらりんと引き伸ばされた不安、冴え冴えと夜明けの遠い不眠といったかたちで、まざまざと露呈してくるものではないだろうか。
 と同時に、そこには抽象的ではない、掌に載せて感じられるような「重み」が重要な役割を果たしているようだ。自らの重みでゆっくりと傾斜を下りながら、次第にほどけ、巻き付いていた糸の色合いを明らかにしていく糸車の動き。「ライブラリ」に特徴的な空間を埋め尽くすことなく、メンバーがみな空間のあちこちに巣食っているようなアレンジメント、隙間が多く出入り自由な、それでいて細い綱を渡るように不安定で深い集中を要するアンサンブルは、そうした糸車が何台も異なる速度で、異なる色合いの糸をほどきながら交錯し、次第に魅惑的な「謎」を織り上げていくプロセスのように見える。

 これほど魅惑的な「謎」を奏でるグループを他に知らない。「天職」を英語で「calling」というのは「神様に呼ばれた仕事」という意味だそうだが、確かに「ライブラリ」には「呼ばれて」いるように感じることがある。


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図書館系ジャズユニット・ライブラリ
10月19日(月)四谷三丁目茶会記にて、
「物語自身のスピードで」
蛯子健太郎(b)
三角みづ紀(poetry)橋爪亮督(sax)飯尾登志(pf)井谷享志(perc)
19:30開場 20:00開演 ¥2,500 (1dr. incl.)


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ライヴ/イヴェント告知 | 22:05:33 | トラックバック(0) | コメント(0)
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