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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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タダマス、再結成した「19」と共演する  TADA-MASU Plays with Reunited Legendary Duo "19(JUKE)"
 来週末、10月25日(日)に四谷音盤茶会(通称「タダマス」)が開催される。前回は紹介された全作品に聴き手を鋭く触発する強度がみなぎっており、思わずそれに反応して、当日プレイされた10枚すべてに言及するという、異例のレヴューをしたためることになった(※)。その末尾で、私は次のように記している。
※http://miminowakuhazushi.blog.fc2.com/blog-entry-365.html

最近、様々な方面からNYダウンタウン・シーン、あるいは同時代的なジャズ・シーンに注目が寄せられ、それらの期待に応えたり、あるいは不適切な憶説に反論したりと、「タダマス」も結構揺さぶられたように思う。正直言って、「そんなの相手にしなくてもいいのに」と思ったことも何回かあった。しかし、6月に益子が恒例のNY定点観測に赴き、おそらくは現地のシーンの生な強度に触れて、日本国内のジャズ雀の囀りなどどうでもよくなってしまったのだろう。今回の「タダマス18」の成功は、強度の高い何をさておいても紹介すべき作品を選び抜き、それらの配列から自然とあるラインが浮かび上がり、それと「タダマス」本来の視点・立ち位置が相互に響き合い、照らし出しあうという原点に回帰したことにあると思う。やはり何をさておいても駆けつけ、耳を傾けるべきイヴェントである。たとえ選盤が好みに合わなくても、それはそれで何事かを如実に明らかにするだろう。そうした「異なる視点から眺めた風景」に気づかされること、触発されることは多い。ぜひ今後とも末永く継続していただきたい。

 「今ジャズ」なるものが、ジャーナリズムによる「フレームアップ」というか、マーケティングに基づいた情報操作であることは、『プログレッシヴ・ジャズ』所載のインタヴューで菊地成孔が述べている通りで、それ以上でも、それ以下でもない。その中から素晴らしい作品/演奏が生み出される可能性もあるだろう。でも、多くは単なる流行りモノで、ムーヴメントとは固定され抜け殻となったスタイルの集団パクリにほかならず、それらすべては1年もたたずに脱ぎ捨てられるモードに過ぎない。それでも「流行りモノ」に触れたいヒトはそうすればいいし、「最新の」流行りモノに誰よりも早くアクセスすることにステータスを置きたければ、勝手にすればいい。
しかし、私はこれまで音楽をそのようには聴いてこなかったし、これからはますますそのようなことはないだろう。流行りモノを追いかけるには、もう齢を取り過ぎた。それは決して感性が鈍くなったとか、新しいものに対する反応が遅くなったということではない。はっきり言って、私にはもう残された時間が僅かしかないのだ。音楽に打ちのめされた経験もなく、ただキラキラと輝く流行りモノを追いかける快楽しか知らないのならば、一生そうしていればいい。だが、私はこれまで幾度となく、音楽の素晴らしさに打ちのめされ、この世にそうした素晴らしい音楽が存在することを知ってしまった。もはや後戻りはできない。明日にはごみ溜めになることがはっきりしている場所を漁っている暇などないのだ。

 私の「タダマス」への信頼は、もちろんまずはその耳の確かさゆえであるが、それだけではない。むしろ、益子と多田の二人の、抑えがたい耳の渇望による。筋立ての整合性を優先するならば、理論的枠組みが優先で、それにうまく適合する事例が選ばれることになるだろう。しかし、彼らの耳はそうした理論的適合性よりも、菊地雅章やThomas Morgan、Henry ThreadgillやMary Halvorsonの論理の枠組みをはみ出し、引き裂こうとさえする禍々しい強度に、否応なく惹きつけられてしまう。彼らはそれを等閑視できない。そして類似/類推の線を通じて、数多くの音たちがその場の議論に召喚されることとなる。「私なぞ『あ、○○に似てる~』しか言わないけれども‥」と多田は謙遜してはにかむが、それって実は恐ろしいことなのだ。あらかじめ用意した筋道を脱線して、画定しておいた閉域を踏み破り、あらぬ方向へ新たに線を引き直して、予想だにしなかった関係性を即興的に浮かび上がらせることなのだから。そうした耳の動体視力や反射神経を含め、彼らの共有する比類なき耳の渇望に私は感服し、そして厚い信頼を置いている。
タダマス19-0


 思わず、前置きが長くなってしまった。益子による今回の内容の案内は次の通り。

masuko/tada yotsuya tea party vol. 19: information
益子博之×多田雅範=四谷音盤茶会 vol. 19
2015年10月25日(日) open 18:30/start 19:00/end 22:00(予定)
ホスト:益子博之・多田雅範
ゲスト:カイドーユタカ(ベース奏者)
参加費:¥1,300 (1ドリンク付き)

今回は、2015年第3 四半期(7~9月)に入手したニューヨーク ダウンタウン~ブルックリンのジャズを中心とした新譜CDをご紹介します。
ゲストには、ベース奏者、カイドーユタカさんをお迎えすることになりました。ストレートなジャズから完全即興、ソロ演奏まで幅広い領域で活躍するカイドーさんは、現在のニューヨークを中心としたシーンの動向をどのように聴くのでしょうか。お楽しみに。(益子博之)
詳しくはhttp://gekkasha.jugem.jp/?cid=43767を参照。

 なお、多田による告知(「宣言」と言うべきか)もぜひ参照していただきたい。
http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20151016

タダマス19-1  繧ソ繝€繝槭せ19-2_convert_20151018145456 タダマス19-3
なお、表題の「19」については、以下を参照のこと。
http://www.discogs.com/artist/548408-19Juke


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ライヴ/イヴェント告知 | 15:00:06 | トラックバック(0) | コメント(0)
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