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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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注目! フタリ・フェスティヴァル2015  Attention ! FTARRI EESTIVAL 2015
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 鈴木美幸(FTARRI)の主催する音楽祭『FTARRI EESTIVAL 2015』が、11月21日(土)・22日(日)の2日間、いよいよ開催される。綺羅星の如く並ぶ出演陣から、私の注目するアーティストを紹介したい。

 こうしたフェスティヴァルの呼び物と言うべき、海外からの来日アーティストからは、まずPatrick Farmer, Stephen Cornfordの二人に注目したい。Patrick Farmerは作曲から音響的なインプロヴィゼーション、フィールドレコーディングに至る幅広い領域で活動しているアーティストだが、フィールドレコーディングを素材にした『Like Falling Out of Trees into Collectors' Albums』は衝撃的だった。何の変哲もない風景が、彼が傍らに佇むだけで、黄泉の世界から不思議な風が吹いてくるようにざわめきたち、何事もなく過ぎていた時間が泡立ち滞る。この作品を初めて聴いた時の印象は「ここには何かあるが、それを名指すことはとてもできない」という半ばあきらめ加減のものだった。当時記したディスク・レヴューを参考に掲げておこう。

フタリ0Patrick Farmer / Like Falling Out of Trees into Collectors' Albums
Consumer Waste cw04
Patrick Farmer(fieldrecordings)
 以前に2011年第4四半期のディスク。レヴューで「その素晴らしさを言葉にする術をうまく探り当てることができ」ないとして掲載を断念した本作を改めて採りあげることにしたい。今回の執筆に当たっては、前回レヴューした同じくConsumer WasteからのリリースであるSarah Hughes&Kostis Kilymis『The Good Life』の聴取体験が導きの糸となった。
 添えられた説明によれば、最初のトラックはプールに張った氷が溶けていく様をとらえている。だが耳にもたらされるのは手前で漏らされる低く乾いたつぶやきが、風の音と混じり合う様に過ぎない。そこに視覚的イメージが浮かぶことはなく、パースペクティヴも存在しない。突如として上空を飛行機が通過し、その音がサーチライトのように周囲の光景と聴いている私の身体を照らし出す。それまでの「包囲光」的なアンビエンスが浮かび上がらせていた、輪郭を持たず端からさらさらと崩れていく軽やかなざわめきとは異なる視界(放射された音がかたちづくる円錐形の空間以外の認知が相対的に弱まる)がそこに開ける。冷たい風に揺らぐ一面枯れ草で覆われた野原を思わせる響きの向こうに開ける別の世界。
 頭上に張り渡された送電線の唸りをフェンスの振動を介して収録した2曲目において、音響はよりシンプルな振動に収斂した見かけをしているが、覗き込むほどに、顕微鏡の倍率が上がるように新たな視界が開かれていく感覚を覚えずにはいられない。3曲目は竹の中に巣を作る蜂の生態をとらえたものだが、対象に顕微鏡的にフォーカスするのではなく、たっぷりと余白を取っていることが、沈黙のざらつきを聴かせる結果となっている。100枚限定。

 今回、新作コンポジション「Border」を携えての参加。その演奏メンバーもRhodri Davies, 村山政二郎, 田中悠美子、石川高とまったく出音の予想がつかない。

 対してStephen Cornfordは、ちっぽけな、壊れかけた、取るに足らない簡素な機械仕掛けが漏らすかそけきつぶやきやささやきに耳を傾け、そこから魅惑的な音世界を魔法のように開いてみせる。掲載写真のようにサウンド・インスタレーションも手掛ける彼は、今回、3台のプロジェクターを使った映像とサウンドによるか「Degital Audio Film」を、Patrick Farmer, 河野円とともに「演奏」する。
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 2日目に登場するThe International Nothingは、それぞれ様々なグループに参加するMichael ThiekeとKai Fagaschinskiによるクラリネット・デュオ。Ftarriからリリースしている3部作は、まるで動物図鑑みたいなジャケットだが、特に2作目を飾る魚類の生態を思わせる、見通しの効かない暗く冷たい水の中を、水の揺らぎを肌に感じながら、するりぬるりと行き交う盲目的/触覚的なアンサンブルが印象的だ。
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 本フェスティヴァルに合わせて来日ツアーを組んでいるJohn Butcherは両日に参加。1日目は鈴木昭男と、2日目はRhodri Daviesとデュオを行う。Rhodri Daviesとは最近Ftarriからライヴ演奏を素材とした『Routing Lynn』をリリースしているし、以前の来日時にも原美術館で充実した演奏を聴かせてくれている。お互いを熟知した間柄と言えるだろう。むしろ、これまでの集大成と言うべきLP4枚組ボックス・セット『Pedwar』をリリースし、最近はコンポジションにも手を伸ばしているRhodri Daviesの変貌ぶりが気になるところだ。対して鈴木とのデュオは何が起こるかわからない。私は以前にこの組合せを「大磯すとれんじ・ふるうつ」で観ているのだが、音具をかき回すかと思えば、ラジオ体操みたいな動きで小石を打ち合わせるノンシャラン極まりない「自由過ぎる」鈴木に、John Butcherは調子を狂わされっぱなしで、何とかスズキの軌跡をとらえようと耳を澄まして、全然関係のない階段の軋みに反応したりしていた。現代サキソフォン演奏の最先端を行く超精密機械が、誤配線だらけのアナログ機材に接続されて、誤作動を繰り返す様が目撃できるかもしれない。
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 国内勢では、そのJohn Butcherの演奏の素晴らしさを初めて音盤に定着させた『Nigemizu』の録音を担当した高岡大祐が、2日目に広瀬淳二、Kai Fagaschinskiとのトリオで姿を現す。今回のJohn Butcherの来日で、高岡との共演が実現しなかったのは返す返すも残念だが、互いによく知る広瀬との共演にKai Fagaschinskiを加えた構成は、各自が動き回れるスペースが広そうで期待できる。一見、豪快かつノイジーに音を放つ二人が、実は繊細極まりない演奏をしていることを、Kaiの参加がより明らかにしてくれるのではないかと思う。広瀬は自作楽器演奏がクレジットされているが、ぜひサキソフォン演奏も聴かせてほしいところ。
 もうひとつの注目は、こうしたフェスティヴァル初参加のstilllife(津田貴司+笹島裕樹)。「祭り」の場ゆえ聴衆の集中度が懸念されるが、会場の広い空間を相手取って彼らなりの戦略を用意してくるのではないか。フェスティヴァル登場1週間前の今週末11月14日(土)には、石神井公園に連なる石神井氷川神社境内こもれびの庭の夕刻、、釣瓶落としに暮れていく光の中で、3度目の野外ライヴを行って、いよいよ覚悟を決めてくる。
フタリ10

 紹介したのは出演者のうちの一部に過ぎない。それぞれにお目当てのアーティストも異なることだろう。だが、「ノーマークだった演奏に打ちのめされる」といった「交通事故」が起こるのが、こうしたフェスティヴァルの良いところ。ぜひ、知らない(これまで知らなかった)音世界にも耳を拓いてみてほしい。
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会場:東京、西麻布 スーパー・デラックス (SuperDeluxe)
東京都港区西麻布 3 -1-25 B1F 日比谷線 / 都営大江戸線六本木駅 3番出口より徒歩5分
2015年11月21日(土)
開場:午後2時30分、開演:午後3時30分、終了:午後9時30分予定
2015年11月22日(日)
開場:午後2時、開演:午後3時、終了:午後9時予定
2日間通し券:予約 7,500円 + 各日 1 drink、当日 8,000円 + 各日 1 drink
1日券(各日):予約 4,000円 + 1 drink、当日 4,500円 + 1 drink

予約方法:
スーパー・デラックスのウェブサイトから申込下さい。Eメールにより確認のご連絡をいたします。
11/21(土)ご予約 → www.sdlx.jp/2015/11/21
11/22(日)ご予約 → www.sdlx.jp/2015/11/22
2日間通し券はスーパー・デラックスのお問い合わせフォーム https://www.super-deluxe.com/inquiry/ から申込下さい。当日の入場は通し券のお客様優先となります。
ファックスでの申込の場合は、イヴェント名 (Ftarri Festival)、希望日(11/21+22、11/21、11/22)、氏名、人数、電話番号またはファックス番号を明記の上、03-5412-0516 へ送信下さい。予約締切は、2日間通し券と11/21の1日券が11月20日午後9時、11/22の1日券が11月21日午後9時です。

問い合わせ : FTARRI 電話:03 -6240 -0884 (午後4時~8時。休業日やライヴ時間中はつながりません) E-mail: info@ftarri.com


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ライヴ/イヴェント告知 | 11:08:11 | トラックバック(0) | コメント(0)
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