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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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アスガー・ヨルンとジャン・デュビュッフェ  Asger Jorn and Jean Dubuffet
 椹木野衣『後美術論』(美術出版社)を読んだ。内容はかつての彼の著書である『ヘルター・スケルター』をはじめ、「いつか聞いた/読んだ話」的な「既視感」が強く、あまり感心しなかったのだが、とある一節に眼が惹きつけられた。具体的に指摘するならば、セックス・ピストルズの仕掛け人マルコム・マクラレーンへのシチュアシオニストの影響に筆を伸ばした際、一瞬だけ登場する「同じくシチュアシオニストの運動に参加したコペンハーゲンの画家アスガー・ヨルンは‥」という名前に(284ページ)。アスガー・ヨルン(Asger Jorn)といえば、ジャン・デュビッフェの音楽/音響探求時の共同作業者ではないか。彼の名前にこんなところで出会うとは。
 元はと言えば、デュビッフェによる「ミュジック・ブリュット」の試みに注目しながら、アスガー・ヨルンについて全く予備知識もなく、調べようともしなかったこちらが悪いのだ。この際せっかくなので‥と少し調べてみると、シュルレアリスムをちょっとかじった後、「コブラ」に参加し、さらにアンテルナシオナル・シチュアシオニストに加わり、脱退したことがわかった。デュビュッフェとの共同作業は1960年から1961年頃のことなので、さらにその後の活動となる。
 おそらく美術側からのお定まりのデュビュッフェ評価としては、「ミュジック・ブリュット」の試みは取るに足らぬお遊びのようなものなのだろう。だから、デュビュッフェを通して見たヨルンの存在感は、希薄なものにとどまらざるを得ない。それはたぶんヨルンの側から見ても同じことらしく、英語版ウィキペディアのアスガー・ヨルンの項目には、「コブラ」やシチュアシオニスト・インターナショナルは出てきても、デュビュッフェの名は出てこない(ちなみにデンマーク語版にも出てこないようだ)。
 今回調べていて、Jean Dubuffet & Asger Jorn『MUSIQUE PHÉNOMÉNALE』(当初、10インチ盤4枚組で限定50部のみリリース)のTochnit Alephからの再発予定を知り、心躍ったのだが、これはまたずいぶんとマイナーな喜びにほかなるまい。

  後美術論        
椹木野衣『後美術論』 『MUSIQUE PHÉNOMÉNALE』再発予定

   
『MUSIQUE PHÉNOMÉNALE』オリジナル装丁と中身

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アート | 22:33:42 | トラックバック(0) | コメント(0)
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