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福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

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2010年ベスト30の周辺① Around best 30 of 2010 volume 1
 musicircus掲載の「2010年ベスト30」の前文に記したように、今回は2010年中にリリースされた作品に限定して選定した。レクチャーの準備中に聴き返したかこの作品が膨大にあり、「昨年よく聴いた‥」式にやると、とても選べないからなのだが、この制約条件のせいで泣く泣く選定をあきらめた作品を、まず何枚か挙げておこう。

 まずはRichard Skelton / Landings (Type)。アンビエント~ネオ・クラシカル系のアーティストとして認知されているだろう彼を聴いたきっかけは、よく利用させていただいているpastel recordsのページだった。試聴用のファイルを聴いて、響きの繊細さとエッジの鋭利さ、そしてサウンドの密度感/構築感にうなった。そのうえ、一般に流通しているのはCD版なのだけれど、pastel recordsではマニアックなことにLP+CD版を入れていて、ジャケット・デザインの良さにも打たれた(はっきり言って、LPの方がデザインが断然いい。幽玄さすら漂う)。針を落とすと、たちまちのうちに張り詰めた弦の交錯に襲われる。松脂が飛び散って、眼に入りそうなくらい弓の動きが激しく生々しい。弦の響きもまた、断ち割られたばかりの針葉樹が発するような、つんと透き通った鋭い香りに満ち満ちている。「急峻」という二文字が似合いそうなサウンド。私の耳を「アンビエント」系へと開いてくれた1枚だが、惜しくも2009年のリリース。

 続いては、何度も採りあげてきたTomoko Sauvage / Ombrophilia (either/OR)。空間の中に半透明の輪郭が揺れ動き、円やかな響きが広がる。小石をみずうみに投げて「水切り」を競う様を、水中から眺めているような感じだろうか。聴いているうちに、周囲の風景もまた輪郭を揺らがせ始める。これも2009年のリリース。出会ったのもやはりpastel recordsのページ。店主である寺田さんの選盤眼はスゴイと思う。もうレーベルでも品切れみたいだから、見つけたらお早めに。

 David Toop, Alvin Curran, Raphael Toral, John Butcher, Rohdri Davies, Olivier Blockら、超豪華メンバーによるV.A. / Lontano:Homage to Giacinto Scelsi (ST Produzioni Sonore)もやはり2009年。こうした特異な面子が注目するジャチント・シェルシの魅力について、改めて考えさせられた1枚。

 Zeitkratzer / Volksmusik (Zeitratzer Records)は2008年の作品。最近のJohn Cage, James Tenney, Alvin Lucierらの作品を演奏した「Old School」と題された一連の作品群も良いが、タイトル通り自作の「民謡」に走ったコレは激ヤバ。もともとクセナキスまで演奏してしまう腕達者たちが頭のネジを外して暴走。それともドイツ系は「フォルクス」と聞くと血が騒いで止まらないのか(問題発言)。Asmus Tietchens / Das Fest Ist Zu Ende. (Barooni)の暗~く澱んで退廃したへべれけノイズを思い出したり。


 次回は選定段階で注目していながら未聴だった作品を採りあげるかも。
 ご期待ください。



Richard Skelton / Landings (Type)


Tomoko Sauvage / Ombrophilia (either/OR)


V.A. / Lontano:Homage to Giacinto Scelsi
(ST Produzioni Sonore)


Zeitkratzer / Volksmusik (Zeitratzer Records)
この確信犯的にださいジャケがまた‥。

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音楽情報 | 23:11:31 | トラックバック(0) | コメント(0)
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