■プロフィール

福島恵一

Author:福島恵一
プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。「アヴァン・ミュージック・ガイド」、「プログレのパースペクティヴ」、「200CDプログレッシヴ・ロック」、「捧げる-灰野敬二の世界」等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。

■最新記事
■最新コメント
■最新トラックバック

■月別アーカイブ
■カテゴリ
■リンク
■検索フォーム

■RSSリンクの表示
■リンク
■ブロとも申請フォーム
■QRコード

QR

カタストロフの近傍 補足 Neighborhood of Catastrophe (Supplement) - Stackenas&Nakatani@Barber Fuji 21st Feb.2011
 前回レヴューしたライヴの主催者であるバーバー富士店主松本渉さんが、自身のブログでレヴューを紹介してくださいました(URLは以下の通りhttp://air.ap.teacup.com/scissors/)。ありがとうございます。演奏が良くていいライヴでした。今回の来日ツアーの記録動画がすでにyoutubeにアップされていて、それを見る限りでは、新宿ピットインより、バーバー富士の方が集中度が高くてずっと良かったんじゃないかなーと。たぶんこれは演奏スペースのアコースティックも影響しているのでは。デュオ演奏動画のURLはこちら(http://www.youtube.com/watch?v=6v4valYVbug&feature=related)。やっぱりゲスト入りよりもデュオの方がいいですね。

 松本さんは私のレヴューの語彙の豊富さを指摘してくれたが、これはその時に繰り広げられた演奏自体が、様々な表現を駆使しないととてもとらえきれない、スパンが広く、遷移の激しいものだったことを意味している。フツーの音楽表現用語では、とてもではないけどファインダーにとらえられないというか。
 ライヴ中に取ったメモには大量の言葉が残されているのだが、それを細かく再構成してもライヴのめまぐるしい躍動感は甦らない。細部のクロースショットと全体を俯瞰でとらえたロングショットのカットアップや、そうしたイメージの流れ/連関を一回解きほぐして、言葉を発酵させ、新たなイメージへと集約することで時間を一気に圧縮したり‥とそんな操作が必要になってくる。

 ライヴ動画のURLを載せておいてこんなことを言うのも何だが、演奏のアクションにとらわれず、むしろそこから切り離して、音にこそ耳を傾けてみてほしい。レヴューでも少し触れたが、視覚の力は強大で、「ああ、この音はこうやって出してるのか」と思った瞬間にはもう、「WHAT」が「HOW」に取って代わられて、何となくわかったつもりになってしまう。反対に動きに注目するのなら、今度は結果としての音を切り離して、身体の運動にだけ感覚を集中させてみるとよい。そうすれば「あ、叩いた」、「今度は擦った」‥というような、個々の「動作」(それはどうしても目的/結果と分かちがたく結びつけてとらえられてしまう)の連なりではなく、あるムーヴメント、アクションの集合体があり、それが発芽し、枝を伸ばし、分岐するように、個々の流動性を発現させる様が見えてくるだろう。私はそれを旋回運動の重ね合わせとして描写/分析したが、当然、別の視点/とらえ方も可能だろう。

 「旋回運動」のイメージは、アフターアワーズに中谷にお願いして、購入したCDにサインしてもらっている時(まあ何てミーハーな‥)に、ふと閃いた。彼はさらさらとサインしたペンをそのまま滑走させ、くるくるとフリルを付けてなお止まらず、そこに点々を打ち始めた‥。それをあっけにとられて見ていた私の頭には、相似型に増殖するフラクタル図形のCGが一瞬浮かび、次いで「縁日の焼きそば」と評した彼の動きがフラッシュバックし、演奏中ずっと「楽器/対象をとらえヒットすると言うより、一連の運動が先にあって、それが楽器や音具を巻き込んでいく感じだなー」と漠然と感じていたことと結びついて、「旋回運動」という語に行き着いた。ちょうどその時に思い浮かべていたのは、大小のフラフープを一度にたくさん回すアクロバット芸人の姿だった。膝や肩に掛けた小さな輪はくるくると素早く回り、手首を通した中ぐらいの輪はそれよりゆっくり回転し、腰に引っ掛けた大きな輪は、惑星の軌道のように悠然と周期を巡る。これらの回転する輪を、吊り下げられた様々な材質/形状/大きさの鐘やベルに当てれば、それぞれに違った音色/音高/周期で鳴り響く。それが重なり合い、互いに干渉して、さらに複雑な音響を生み出せば、それは蔓植物やシダ類の繁る響きの熱帯雨林と化すだろう。中谷の演奏/アクションは(そして演奏/音響も)まさにそんな感じだった。



新宿ピットインにおけるデュオ演奏
(youtube動画から)

スポンサーサイト


ライヴ/イヴェント・レヴュー | 23:53:09 | トラックバック(0) | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad